マタニティーヨガ

女性のからだに命が宿ること。この奇跡としか言いようのない妊娠という体験は、神秘的な時間となり、深く自分を振り返る日々につながります。この素晴らしい「十月十日」を有意義に、そして『いのち』という尊い言葉を受け止める日々は、まわりの人々を笑顔にします。これが「命を授かった」という大きな役割と「深い責任を受け入れる」ことにつながり、人間を成長させていきます。

マタニティーヨーガは、この時期に必要な体と心のあり方を知り、そしてこの「いのちが宿る」という素晴らしい出来事を深く理解できるようになる、妊娠期だけに与えられたヨーガトレーニング法です。素晴らしいお産になりますように。

 

日本予防医学ボディケア協会

ブリスワークアウト代表

Nanakha Olatunji

奇跡が重なる妊娠という出来事


妊娠にはいろんなケースがあります。

計画的な妊娠・自然な妊娠・不妊症を乗り越えてやっと授かった妊娠・若年齢での妊娠や高齢期の妊娠・予期しない妊娠・・・どんな事情であれ、妊娠というのは奇跡としか言いようの無い出来事です。この1つの命が生まれようとする奇跡・・・これをしっかり受け止め、妊娠に至るまでの過程を少し知識として客観的にみてみましょう。

子宮の中で0.1mm程の受精卵(卵子と精子が出会い、融合=受精して生まれた細胞)が、60兆個という細胞からなるヒト(新生児)へと統合されていく妊娠という奇跡。ただ細胞が増え続けていくだけでなく、アポトーシス(apotosis)といって手指の水かきがなくなっていくなど、人間の神秘が繰り広げられて行きます。そして出産時には、からだ機能、感情を持ったヒトとして1つの命がこの世に誕生します。


<精子と卵子の出会い、この2つの奇跡が1つの受精卵を育てて着床に到るまでの過程>

膣内に入った数千万~数億個の精子のうち、卵管膨大部にまで到達するのは数十~数百個ほどです。それらのうち、卵子の周りを覆う透明の膜(顆粒膜細胞かりゅうまくさいぼう=卵子の周りにくっついて卵子に栄養を与えている)を最初に破った精子が卵細胞の中に入り込み、受精が起こり受精卵になります。この受精卵は時間をかけて細胞分裂を繰り返し、受精卵の大きさは一定のまま細胞数だけが増加します。そして受精卵は分裂を繰り返しながら子宮にたどり着き、最終的に「胚盤胞」の状態で子宮内膜に着床できる状態へと変化させていきます。これが「妊娠」です。

<受精後1〜2日目>

1つだった受精卵が卵割(初期の細胞分裂)で、2つの細胞(初期胚)にわかれ、さらに細胞分裂を繰り返しながら、胚は卵管の中を子宮に向かってゆっくりと進んでいきます。

<受精後3〜4日目>

細胞分裂が4回以上行われると桑実胚(そうじつはい*小さい実が寄り集まったような桑の実の外観に似ている)になり、細胞同士が融合して見えるようになります。

<受精後5〜6日目>

ここから徐々に細胞にも役割が生まれてそれぞれ異なる形へと変化していき、細胞の外側を覆う薄い膜のような(外細胞塊)と、その内部に細胞が重なり合った(内細胞塊)が形成された=胚盤胞と呼ばれる状態になり、この内細胞塊の部分がベビーとなっていきます。

<受精後6〜7日目>

胚盤胞は細胞分裂を続けながら、子宮内へ到着し、子宮内に浮いた状態で、着床のタイミングを待ち着床の成立となります。


ホルモンバランスの変化


女性の体は排卵後から、子宮内を妊娠しやすい状態へと変化させています。妊娠成立(着床)からは、徐々に妊娠ホルモンが上昇していきます。エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用により子宮内膜が増殖し厚さが増し、プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用により、充実した子宮内膜を分厚くし受精卵(胚盤胞)が着床しやすく妊娠が維持されやすい環境がつくられます。これらのホルモンにより女性の体は、乳房・皮膚・腹部・膣と外陰部・下肢、そして循環血液量・心臓・血圧・呼吸器・消化器・腎機能・泌尿器・・・全身に変化が現れます。ホルモン変化によって体が正常では無い状態を受け入れ出す時期に悪阻(つわり)が始まり、胎盤が出来上がる頃には落ち着くケースが多いですが、この悪阻は軽度のものから重度まで、また妊娠初期のみで終わる方も見えれば出産まで続く方もみえます。このように妊娠という出来事は大きく女性の体に影響を与えます。

ママの体と心の変化


おりものの変化・風邪のような症状・日常の家事をするのがつらい、ずっと寝ていたい、少しでも横になりたい・身体のだるさや眠気・胸の張りや痛み・下痢・吐き気・便秘、下痢になる方など、症状は様々です。そして心もイライラや憂鬱が続き、 体調変化や出産への不安などからも情緒不安定になりやすくなります。しかしこの時期は、普段の生活習慣の見直しをするのにとっても適した期間となります。改めて自分の人生を振り返り今後変化していく生活に、今から何が必要なのかをしっかり見極める絶好のチャンスとなるのです。


ママとベビーをつなぐ胎盤


受精卵が着床するとホルモンが分泌され、絨毛という胎児と母体を繋ぐ糸が出き始め、その糸が増殖してひとつになった臓器が胎盤となっていきます。着床した胚と子宮内の細胞が合わさって、胎盤の元となるこの細胞が作られ始めるのです。その後、子宮の1部が厚くなっていきそこにくぼみができ、胎盤が完成します。

<妊娠7週頃に形成が始まり妊娠12週から16週あたりに完成する胎盤>

妊娠16週に完成した胎盤は出産直前には直径約20㎝・重さ500g〜600g・厚さ2㎝〜3㎝になります。

胎盤は赤ちゃんとママを繋ぐ大事な臓器ですね。

胎盤とは絨毛が密生する血管の集まりで妊娠中、いろんな役割をします。胎盤には臍帯が付いていて、母体とつながっています。母体側から血管が(子宮静脈・子宮動脈)胎児側から臍動脈2本と臍静脈が1本が胎盤へつながっています。胎盤は胎児に有害物質が送られるのを防ぐフィルターの役割を果たし、分子の大きな物質は胎盤内に侵入できないようになっています。胎盤は血管の集まりですから、血液がドロドロしていると血管が詰まりやすくなってしまいベビーに酸素や栄養が送りにくくなるので、妊娠中の食生活がとても重要になります。

ベビーのお部屋の羊水


ベビーのお部屋の役割の羊水は、ベビーに直接の衝撃が伝わらないように守るクッションの役目をし、ベビーはこの羊水の空間で、自由に運動して筋肉や骨格を発達させます。この羊水があることでベビーの動きがママにダイレクトには伝わりにくいようになっていますが妊娠18~20週頃から、だんだん胎動として感じられるようになっていきます。ベビーは成長するにつれ羊水を飲んだり、排出したりを繰り返し、羊水を肺にまで取り込んで、生まれてからの肺呼吸の練習の準備をします。飲んだ羊水は肺や小腸から吸収され、血液に取り込まれたあと、腎臓で再び吸収されて、それが尿となって出ていきます。妊娠初期の羊水は、主に赤ちゃんを包む羊膜や胎児の皮膚からしみ出してきたものですが、妊娠が進むにつれて、胎児の肺胞液や腎臓からの尿が多くなり妊娠中期以降になると、羊水の成分のほとんどはベビーの尿となります。ただし羊水は、常に新しく作られては吸収され、また作られる…を繰り返し循環しています。一般的には、妊娠週数が進むにつれて増えていき、30~35週に約800mlとピークを迎え、40週を過ぎると500ml以下になり減少していきます。 羊水が多すぎるということは、ベビーが羊水を飲んで吸収する量よりも尿として出す量が上回っている、もしくはベビーが吸収する量が低下していることが考えられます。またママが糖尿病の場合、ベビーも高血糖になり尿の量が増える傾向があります。反対に羊水過少(羊水量が100ml以下)は、ベビーを守るクッションが減りベビーにに負担がかかり、飲む羊水が少なくなって肺の活動も低下して行きます。羊水過少の原因の約半数は、妊娠37週以前に起きる前期破水によるものですが、子宮への血流の減少も考えられます。血流が少なくなるとまず、生命の維持に重要な胎児の心臓や脳などに優先的に血液が流れ、そうではない手足や腎臓へは、後回しになり、腎臓で作られる尿の量も減少し羊水も減りベビーが動きにくくなって胎動も減少してしまいます。


アルコールやニコチンは分子が小さいため胎盤ができてもフィルターにかかわらず胎児に影響します。

お腹の中のベビーの様子


妊娠4週目:心臓や肝臓などが作られ始め、心臓が拍動し、血液が循環し始め、脳の発達も始まる。

妊娠5週目:目や手足の元となる部分ができる。

妊娠6週目:耳が作られる。内外ともに人間らしくなり、胚から胎児へと変化する。

妊娠7~8週目:目鼻や四肢が整い、内外ともに人間らしくなり、胚から胎児へと変化する。

妊娠12週目:主要な臓器も完成する。

このようにベビーの発育の中で、妊娠初期はとても大切な時期になります。そしてママの食べるもの、心の状態はしっかり胎盤を通じてベビーにダイレクトに伝わり、大きな影響を受けていきます。

 

マタニティーヨーガと呼吸法が大切な理由


呼吸を深くしベビーに大切な酸素を送る

ママの呼吸=ベビーの呼吸となります。ママの呼吸が浅ければベビーにしっかり酸素が供給されずに苦しくなってしまします。この妊娠期間にしっかり呼吸法を練習することでママの身体機能も向上し、内臓機能を中心に血流が良くなっていき、また浮腫みや肩こり、頭痛なども改善されると共にお産で必要な呼吸を練習することにつながっていきます。そしてママの呼吸音と心臓の音は、ベビーの子守唄になります。しっかり呼吸法の練習をすることはベビーの健康への安定と共に、深い安らぎを作ることにつながっていくのです。

ママの心の安定=ベビーの安心

一番効果的で深い効果がある胎教とは、ママの心の安定です。妊娠時期は喜びの反面、たくさんの心配事が出てくる時期でもあり、ホルモンの関係で不安定になりやすくなります。またマタニティーブルーという言葉があるように心が波のように毎日変化し、今までに味わったことのない心の変化を体験します。しかしこの時期にしっかり自分と向き合うこと、さらにパートナーと向き合うことで乗り越えられる時期でもあります。ですからこの大切な時期に自分の時間を作り、内面を安定させることを大切にすることで、ベビーが安心してママのお腹の中ですくすく過ごすことができるようになります。

ベビーの誕生とまわりの人々への幸福の連鎖


ママのお腹で動く命。お腹や手のひらから感じるベビーの動き。目を閉じると深い安らぎを感じるベビーとの時間。このママの姿はとても愛らしく、優しさに満ちています。そしてパートナーも一緒に親となる準備をする期間となり共に大きな成長を遂げ、家族という絆を作る大切な時間となります。まわりの人々へたくさんの笑顔が、この新しいひとつの命によって生まれるのです。 

素敵なお産になりますように。